[ オピニオン ]
(2016/1/12 05:00)
地域金融機関の再編の動きが相次いでいる。12日に岐阜県を地盤とする大垣信用金庫と西濃信用金庫が合併して「大垣西濃信用金庫」が発足する。4月には横浜銀行と東日本銀行、さらに東京都民銀行・八千代銀行を傘下に持つ東京TYフィナンシャルグループと新銀行東京がそれぞれ経営統合を予定するなど、複数の動きがある。各金融機関が経営基盤強化によってリスク許容度を高め、中小企業への資金供給がこれまで以上に円滑になることが期待される。
地域金融機関を取り巻く経営環境は厳しい。人口減少に伴って地域経済は疲弊し、依然として景気回復を実感できない中小企業の資金需要は鈍い。競争激化から貸出金利の低下を迫られ、収益を直撃される悪循環に陥っているのが現状だ。
最近の一連の再編は、こうした局面を打開するための方策のひとつである。従来の吸収合併にみられる救済型の再編に対し、スケールメリットの発揮によって地方再生を目指そうという姿勢に大きな違いがみられる。
地域の中小企業の活性化なくして、地域金融機関の再生はありえない。各機関は担保に依存した従来型の中小向け融資を見直し、事業性や経営戦略を評価した融資に軸足を移すことで資金需要を喚起すべきである。融資先の中小と二人三脚で事業再生を進めるきめ細かなコンサルティング機能や、イノベーション(技術革新)を期待できる起業を促すなど新規事業を発掘する“目利き力”も求められよう。
政府は中小向け融資の焦げ付きを国などが肩代わりする信用保証制度を縮小し、金融機関の負担を重くする検討に入った。モラルハザードを防ぎつつ、中小企業と正面から向き合った厳格な融資を実現するよう促す狙いだ。今後、ますます“目利き力”が重要になることは間違いない。
4月にはゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げが予定される。これに対して民業圧迫と反発するだけでなく、地域金融の再編に向けた好機ととらえるくらいの各金融機関の前向きな姿勢が必要だ。
(2016/1/12 05:00)