[ その他 ]
(2016/1/25 05:00)
「私はカローラでモータリゼーションを起こそうとした」。トヨタ自動車の中興の祖といわれる豊田英二氏は生前、こう語っている。その言葉通り「カローラ」は日本に大衆車ブームを巻き起こした▼カローラがお披露目されたのは1966年(昭41)の東京モーターショー。今からちょうど50年前である。高度経済成長によって国民所得が急激に増え、車のオーナーになりたいというサラリーマンの夢が現実味を帯びてきた時期だった▼エンジン排気量は1077cc。他社の1000ccより「プラス100ccの余裕」をうたった。当時、主流だった3段変速ではなく、4段変速も採用するなど先進的な車だった▼カローラはトヨタ躍進のきっかけでもある。生産台数が一気に増加し、それまでは一部の工場にとどまっていたトヨタ生産方式を「(車両組立工場などに)広げていく一つの節目になった」と張富士夫トヨタ名誉会長は説明する▼2016年の今、大衆車という言葉はすっかり聞かれなくなった。車のオーナーになりたいと熱望する人も減っている。「大衆車カローラ」は高度経済成長期の日本人に豊かさを運んだ。50周年を機に、日本の技術者のこだわりとクルマの楽しさを若者に伝えたい。
(2016/1/25 05:00)