[ オピニオン ]
(2016/2/9 05:00)
積雪があるたびに多くの地域で交通網に支障が出る。平日は通勤・通学の混乱が深刻だ。とはいえ万全なインフラ対策を講じるのはあまりにも社会的コストがかかる。企業の立場で可能な施策の一つが、情報通信技術(ICT)を活用したテレワーク(在宅勤務)だ。大雪などの業務への影響を減らせる。子育てや介護の支援、高齢者、障害者の就業機会の拡大の側面からも、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方としてテレワークの広がりに期待したい。
米国はじめ欧米諸国ではテレワークを活用した多様な働き方が浸透している。この面で日本は遅れ気味で、ようやく政府がテレワーク推進に動きだしたところだ。
働き方は職種や企業ごとに異なるため、一律的な普及は難しい。最もノウハウがあるはずのICT業界ですら、導入状況はまちまちなのが実情。そうした中でも、仕事の効率を高めるためにテレワークを一般社員に拡大する企業が出てきている。
インフォテリアでは大雪注意報が出ると、業務に支障がないことが確認できれば積極的にテレワークを選択するように社長が全社員にメールで指示する。実際に3割の社員が出社しなかったこともあったという。
同社は年末年始にも、社員が帰省した先でテレワークできる制度を導入した。また夏場、最高気温35度以上の猛暑日が予想されるとテレワークを推奨している。こうした社員の健康に配慮した取り組みが評判になっている。
国内でのテレワークの草分けは日本IBMだ。育児・介護から始まり、2001年に全社員に拡大した。現在はごく自然にテレワークを運用している。大雪になってもオフィスは「いつもより空き席が多かった」程度で、業務に支障はないという。
在宅勤務といえば気楽なイメージもあるが、現実は甘くはない。導入企業からは「気が付くとオフの時間まで仕事漬けになってしまう」という反省の声も聞かれる。個人の能力や業務特性に合わせた新しい仕事のあり方を、それぞれが工夫することが大事だ。
(2016/2/9 05:00)
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