[ オピニオン ]
(2016/2/8 05:00)
電力各社の業績が好調だ。火力発電所で使う燃料の価格が原油安につれて下がったことなどから、大手10社の2015年4―12月期連結決算はそろって経常黒字となった。東日本大震災以降、第3四半期の全社黒字は初めて。東京電力と東北電力は過去最高益も更新した。だが各社の好業績は一時的要因の結果でしかない。電力を低コストで安定供給するため、原子力発電所の早期再稼働へ最大限の努力を続ける必要がある。
電力10社のデータを集計すると、同期間中に各社が支出した燃料費は天然ガス価格の下落などで3兆4725億円だった。前年同期より2兆円低い水準で、これが業績回復の追い風となった。
ただ燃料価格の変動分は、国が定める燃料費調整制度に基づいて3―5カ月後の電気料金に反映される。各社の好業績は料金引き下げまでの時間差で利益が一時的に押し上げられた側面が大きい。
コスト構造の抜本的な改善には原子力発電所の早期再稼働が欠かせない。先ごろ高浜原発(福井県高浜町)3号機の再稼働にこぎ着けた関西電力は、同4号機の運転再開が射程に入ったことも踏まえて16年度の早い時期に電気料金を引き下げる方針を示している。原発停止で跳ね上がった電力コストの低減は産業界の悲願であり、一日も早い実現を期待する。
4月には電力小売りの全面自由化で、家庭向け市場でも価格競争が始まる。だが一足早く自由化を進めた英国では、当初こそ競争の効果で電気料金が下がったものの、その後は燃料費の高騰に伴って料金が上がり、家計などの負担が増えた。やはり市況の影響を受けにくい原発は必要不可欠であり、電源ポートフォリオへの復帰を急がなければならない。
全面自由化後も当面、実態として電力各社に地域のすべての需要家に電力を行き届かせる最終保障サービスが義務づけられる。市場原理の導入により、離島や山間部などの需要家が電力を受けられなくなる事態を防ぐためだ。安価な電力の安定供給に向けて原発を有効利用し、最終保障サービスの責任を果たしてもらいたい。
(2016/2/8 05:00)
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