産業春秋／風呂敷のアイデア

上等なワインを頂いた。正確には、美しいラッピングでいかにも上等だと感じさせられた。豊かなドレープでドレッシーにボトルを演出する「ワイン包み」。いま流行の風呂敷の使い方だ▼菓子などを届ける「お使い包み」、慶事や弔事の「右包み」「左包み」はおなじみの存在。それだけでなく、大きくて丸いものを運ぶ「すいか包み」、飲み口を開けて包んだまま飲める「ペットボトル包み」なども次第に知られてきた▼オフィス近くの風呂敷専門店は、平日でも観光客や地元の大学生ら多くの女性でにぎわっている。唐草模様を思い浮かべるようでは相当に古い。幾何学模様やかわいいイラストをデザインしたもの。昔ながらの図案をカラフルでポップに仕上げたもの▼それをスカーフのように装ったり、絵画のように飾ったり。さらにリュックのように背負うなど、まったく新しい商品になっている。「風呂敷を広げる」とは実際より大げさに見せることの慣用表現だが、目の前で広げてみると、さまざまなアイデアが湧いてくる▼四角い１枚の布が、包むものの形状や包む目的によって自在に姿を変える。古い商品を、視点を変えることで新しく創造する。企業の商品開発も、そうありたい。