[ その他 ]
(2016/4/13 05:00)
春の日差しはポカポカと暖かい。北国でもようやく、長い冬の間にお世話になった重いコートをしまう季節がやってきた。陽光を浴びた山々が輝いて見える▼山形県舟形町で出土した土偶「縄文の女神」。発掘から約20年後の2012年に国宝に指定された。“彼女”は今、東京国立博物館(東京都台東区)の特別公開で、春の陽光ならぬ有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)照明のクールな光に照らされている。次世代光に輝く姿がひときわ美しい▼縄文の女神は現存する立像土偶では日本最大で、全長約45センチメートル。顔は上部の照明を仰ぎ、足元に配置した別の有機ELの柔らかな光が全身を包み込む。有機ELの特徴のひとつは紫外線を出さないこと。展示物の経年劣化を抑える革新的な試みだという▼この展示ケースは女神の出土元である山形県が主導し、県内企業が連携して開発した。照明機器メーカーのルミオテック(米沢市)はじめ後藤電子(寒河江市)、岡村製作所高畠事業所(高畠町)、天童木工(天童市)、不二工業(村山市)など7社が手を組んだ▼特別公開は17日まで。山形が生んだ展示ケースは寄贈され、博物館で使われるという。女神の次には、何が光り輝くだろうか。
(2016/4/13 05:00)