[ オピニオン ]
(2016/4/27 05:00)
繰り返し大きな余震が発生した熊本・大分の地震。製造業はもとより、九州全体の観光産業に与える影響も甚大だ。ようやく新幹線や高速道路の全線復旧がみえてきたが、被災地やその周辺では国内外からのツアーや宿泊のキャンセルが相次いでいる。
日銀福岡支店によると、2014年の訪日観光客に占める九州の割合は約17%。前年比の増加率でも全国平均を上回り、地域経済のけん引役となった。この大きな柱に、不透明感が増してしまったのは残念なことだ。
しかし放置したままでは何も変わらない。復旧・復興の参考にすべきもののひとつが、神戸ルミナリエだろう。毎年12月に神戸市で開催するこのイベントには、数百万人の観光客が集まる。
始まりは1995年12月。この年の1月17日に、6000人以上の死者を出した阪神・淡路大震災が発生した。犠牲者への鎮魂の意を込めて企画した一大イベントを、わずか10カ月余りで実現にこぎつけた関係者の熱意・苦労はいかほどだったか。
それから21年、ルミナリエは冬の風物詩としてすっかり定着した。九州の被災地の復興はこれからだが、観光の果たす役割は大きい。自治体と地域住民が何をできるか。神戸に学ぶところもあるだろう。
(2016/4/27 05:00)