[ オピニオン ]
(2016/5/23 05:00)
米国はえんじ色のような強い赤。欧州は赤めのグレー。日本はブルーグリーン―。化学世界最大手で塗料などを手がける独BASFが、景気動向や世相を反映して選んだ2016―17年の地域別の自動車のカラートレンドだ。
各地域とも複数の色があるが、今年の中心色は米欧ともに赤系。米国は変化をもたらす強いリーダーを求める世論が影響していそうだ。赤をシンボルカラーとする共和党で大統領選候補の指名を確実にした実業家ドナルド・トランプ氏を想起させる。
欧州の赤は“血”だという。中東やアフリカからの移民問題を解決できず、受け入れる側の国民一人一人のアイデンティティーを揺さぶっている。グレーは中間色ゆえに、曖昧さやボーダーレスの印象も与える。
日本のブルーグリーンもまた境界色。男女ともに使いやすく、政府が目指す「一億総活躍社会」に通じるものがある。1990年代に大流行した色だが、新たな社会を生み出す斬新(ざんしん)さがあると分析する。
BASFがトレンドとして提案したのは全部で65色。総じて青系が目立ち、欧州でも今後は高彩度のメタリックブルーの車が伸びると予想する。ただ寒色は収縮色・後退色。世界経済の先行きは暖色であってほしい。
(2016/5/23 05:00)