[ オピニオン ]
(2016/6/17 05:00)
さくらんぼ国内生産量の約7割を占める山形県。この時期、県内の果樹園は、さくらんぼ狩りなどに訪れる観光客らでにぎわう。先人の努力の積み重ねが生んだルビーのような紅い実は、初夏の果物の代表格として訪日外国人客にも知られるようになった。
主力品種は地元生まれで、甘さと酸味のバランスが良い「佐藤錦」。露地栽培の出荷は6月中下旬がピークで、今年は平年より多めが見込めるそうだ。一方で収穫間際の実がごっそり盗まれる被害も報じられており、生産者は夜も気が休まらない。
日本一の座を今後も維持するためには課題もある。特にクローズアップされているのが労働力の確保。人手不足問題は中小製造業ばかりではない。脚立を使った高所での収穫など、骨が折れる仕事は大きな負担になっている。
県と生産者、山形大学などが組み、2015年度から作業の負担を軽減する収穫ロボットの開発が進んでいる。自然の樹木が相手なので、工場の製造ラインよりずっと難しい。ロボットが対応できる現場の環境整備も含め、未来を見据えた取り組みだ。
18、19日の両日、山形市中心部で「第5回日本一さくらんぼ祭り」が開かれる。本場のうまさを味わいに来てみてはいかが。
(2016/6/17 05:00)