[ オピニオン ]
(2016/7/8 05:00)
日本企業は長期にわたり「良いモノを安く売る」ビジネスモデルを得意としてきた。ただ、これからは「より良いモノを高く売る」ことを目指したい。
欧米の先進国の企業は、大量生産によって価格を下げて市場の主導権を握ることをビジネスの成功モデルとしてきた。日本も高度成長期にこのモデルを踏襲。半導体や自動車などで米国を脅かし、通商摩擦を起こすまでになった。
しかし、より安価な労働力を有する国が台頭すればこのビジネスモデルが立ちゆかなくなることは分かっていた。いくらシェアがあっても、性能や品質で他社と有意な差をつけられなくなれば価格競争に走りがちになる。結果として、企業は安い労働力を求めて途上国に生産拠点を移す。生産拠点を得た途上国は技術や資金を蓄え、急速に先進国を追撃する。
「良いモノを安く売る」モデルは、今や新興国の製造業のものだ。先進国の成功モデルを、比較的労働力が安かった韓国や台湾をはじめ「世界の工場」から急成長した中国も踏襲した。結果として、かつて米国がいくつもの製造業の分野で敗退したように日本も造船、半導体、家電などでトップの座を失った。
日本は今、岐路に立たされている。より安い労働力と市場を求めてアフリカに進出するか。それともフェラガモやポルシェなど欧州の一部企業にみられるように、ブランドを認めて対価を払う顧客に絞る「良いモノを高く売る」道に進むか。
しかし、このいずれでもない「より良いモノを高く売る」モデルを生み出せないだろうか。欧州型の伝統や格式を感じられるブランドビジネスに加え、使いやすさなど日本の顧客への気配りを製品に生かす道だ。
日本製品の性能は「匠の技」として知られ、その利用や所有に喜びや感動を感じる顧客は、すでに海外にいる。こうした「匠の技」をさらに磨き、世界に類のない「おもてなし」の精神を販売戦略に練り込めれば、日本の「より良いモノを高く買ってくれる」市場は世界中に広がるだろう。
(2016/7/8 05:00)
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