[ オピニオン ]
(2016/9/21 05:00)
栃木県足利市で11月10日、第3回「世界5Sサミット」が開幕する。「整理・清掃・整頓・清潔・躾(しつけ)」を指す5Sは、工場を主体とする業務改善手法。“足利流”はトップダウンではなく、現場で楽しくやることを旨とする。
「足利5S学校」校長の石井金吾さん(石井機械製作所会長)は、毎年9月初旬ごろに市内の足利織姫神社で行う「お焚(た)き上げ」の神事にかかわる。今年は大手運輸・流通など42社・団体が、各地で顧客らに願いをつづってもらった七夕飾りの短冊約10万枚を奉納した。
その16%は全日本空輸(ANA)が内外の空港から集めたもの。当日は外国人を含むスタッフ10人が参列した。かつては地元の人だけだったお焚き上げはANAの参加を機に8年前に大きく変わった。
「足利を大勢の人に知ってもらう好機」と、石井さんは短冊を燃やす球形の鉄の籠(かご)を自社で製作。“見える化”した神事が夜に映える幻想的なシーンは話題を呼んだ。
神社でも5Sを徹底したことで参拝客は年に1割ずつ増え、16年は35万人を超す見通し。製造業経営者がまいた5Sのタネが、業種や国境を越えて芽を吹いている。「何事も人が基本。おもてなしの心で接したい」と石井さんはほほえむ。
(2016/9/21 05:00)