[ オピニオン ]
(2016/11/24 05:00)
大規模な災害や気候変動、テロなどのリスクは、従来と形を変えながらも企業を幾重にも取り囲んでいる。日本企業も危機管理に敏感なはずだが、先行する海外勢との差は意外に大きいらしい。
日本政策投資銀行BCM格付主幹の蛭間芳樹さんによると「日本企業の危機管理は短期的な地震リスクに偏重している」とか。「海外では経済リスクや地政学リスク、長期の気候変動など管理の高度化が進んでいる」という。
例えば各国の都市力を評価し、数十年後にどこが生き残るかを真剣に投資対象として考えている人が少なくない。日本の大都市が津波で水没した場合、世界の金融がどうなるかのシミュレーションも実際にあるとか。
根底をなしているのは「ピンチはチャンス」の精神。「中国語の『危機』は二つの漢字からなる。ひとつは『危険』、もう一つは『機会』だ」とは冷戦の時代に東西対立を前向きにとらえた第35代米国大統領ジョン・F・ケネディの言葉。
蛭間さんは日本企業の姿勢を「危機回避に力を注いでいる」とみる。避けるのではなく乗り越えようとすれば解決策が必要で、そこに商機が潜む。危機管理をいかにビジネスに結びつけるかの視点が、これからの企業に求められている。
(2016/11/24 05:00)