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[ 科学技術・大学 ]
(2017/2/17 05:00)
高エネルギー加速器研究機構(KEK)が建設中の次世代加速器「電子・陽電子衝突型加速器」(スーパーKEKB)が完成期を迎え、2017年中にも衝突実験に乗り出す。前身のKEKB加速器に対して衝突性能が40倍に高まり、数十倍の実験データを収集できる。宇宙の発展過程で消えた「反物質」の謎や、新しい物理法則の発見を目指す。
加速器の心臓部となる「ベルII測定器」の建設がほぼ終了し、今後は建設位置からビームの衝突点まで測定器を移動(ロールイン)させる。4月中には測定器と加速器とを一体化させ、衝突データの収集に向けた準備が本格化する。
KEKB加速器は08年のノーベル物理学賞の受賞理由となった、「CP対称性の破れ」の起源を発見した『小林・益川理論』を実験で検証するなどの成果を挙げた。スーパーKEKBでは、この標準理論だけでは説明できない、自然界に反物質が存在しない理由を説明する新たな物理の探索や、暗黒物質(ダークマター)の候補となる未知の素粒子の理解などを試みる。
山内正則機構長は、「宇宙のごく初期にしか起こらなかったような、非常にまれな現象を再現できれば、ダークマターに関係することも見つかるだろう」と期待している。
(2017/2/17 05:00)