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[ エレクトロニクス ]
(2017/3/23 05:00)
東芝が分社して設立する半導体メモリーの新会社「東芝メモリ」について、早ければ2018年度の株式上場を前提に売却手続きを進めていることが明らかになった。早期上場の計画を示すことで内部収益率(IRR=用語参照)を重視する投資ファンドに対し東芝メモリの価値をアピールし、売却額を引き上げる狙い。最低1兆円の資金調達を目指す。
東芝は東芝メモリの株式の売却先を選定する1次入札を29日に締め切る予定。米国、韓国、台湾の事業会社や欧米のファンドなど10社程度が関心を示しているもようだ。日本政策投資銀行や官民ファンドの産業革新機構が出資する案も浮上する。共同出資の場合、ファンドは経営権を握れず、買収時の評価額を下げざるを得ない。
そこで東芝は東芝メモリの早期上場が期待できる点を強調し、入札手続きを進める。東芝幹部は「実際に上場させるかどうかは新オーナーの判断だが、2―3年後に可能な状態にはある」とする。
日本の半導体業界では、NECが半導体事業を分社し02年11月にNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)を設立。約9カ月後の03年7月に上場させた。
【用語】IRR=投資に対する収益率。収益が一定だと株式の買収から売却までの期間が短いほど数値は高くなる。投資額が2倍になる形で上場させる場合、2年後の上場ではIRRは40%、5年後では15%に下がる。投資ファンドにとってIRRを高めることは、投資リターンとインセンティブフィー(成果報酬)向上の両面で意味がある。
(2017/3/23 05:00)