[ オピニオン ]
(2017/4/21 05:00)
航空機産業は関西地域でも健康・医療産業と並び成長分野として期待されている。関西を航空機産業の一大拠点にするために、従来の行政や研究機関に加え、資金・財務面で金融機関の支援が欠かせない。
年率約5%で増える旅客需要を背景に、世界の民間航空機市場は今後20年間で2015年の約2倍に当たる4兆―5兆ドルへの拡大が見込まれている。日本の航空機生産額も15年度に1兆8219億円と5年間で1・8倍に成長している。
ただ、福井県を含む近畿2府7県での航空機産業の出荷額(直近3カ年平均)は1341億円と、全国シェアではわずか約8・5%。関西の製造業全体の0・28%しか占めず、自動車産業の約20分の1でしかない。
そんな中、航空部品を一貫生産するサプライチェーンを構築し、航空機産業の一大拠点にする動きがある。航空機産業への参入を目指す中堅・中小企業約100社と航空機部品メーカー6社、行政、研究機関などが16年6月に設立した「関西航空機産業プラットフォーム」だ。
16年度は部品メーカーのニーズ29件に全国から35社84件の応募が寄せられ、22件の面談を実施。10社の新規参入企業が見出せた。成果は出ているが、参入企業はまだまだ少ない。
中小が進出をためらうのは、仕事の有無に関係なく「JISQ9100」などの品質保証規格の認証を取得し、設備を整える投資が必要となるからだ。こうした参入時のリスクを抑えるために、航空機産業の仕組みや特徴を良く理解し、企業を長い目で育てようとする金融機関の協力が必要となる。
航空機産業への進出は、中小にとって初期投資が重荷となり、参入後のコストダウン要請も厳しい。だが参入できさえすれば、航空機自体の生産期間が約10―20年と長いため、安定した仕事が見込め、企業の技術力や知名度も高まる。
金融機関には初期投資や参入後の経営を積極的に支援することで参入企業を増やし、関西に航空機産業の一大拠点を形成する一翼を担ってもらいたい。
(2017/4/21 05:00)
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