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[ 科学技術・大学 ]
(2017/5/9 05:00)
東京大学大学院総合文化研究科の澤井哲准教授らは、細胞性粘菌の「キイロタマホコリカビ」の個々の細胞が集合するとき、誘引シグナル分子濃度そのものではなく、濃度変化の比率に応答して細胞間コミュニケーションをとっていることを明らかにした。
感染や免疫反応など、細胞外シグナル分子濃度が不確定になりやすい状況下での細胞間コミュニケーションの基礎的理解と、医学応用が期待される。
単細胞生物の細胞性粘菌は、有機化合物「cAMP」を合成・分泌することにより、細胞間のコミュニケーションをすることが知られている。
研究グループは、個々の細胞の刺激への応答について、蛍光たんぱく質を使うことによって定量化。細胞外cAMP濃度の変化比に細胞が応答し、細胞間コミュニケーションが細胞密度に依存しない特性を持つことを解明した。変化の比に対する知覚現象はヒトの五感で知られおり、生物に普遍的な情報処理であることが示唆された。
成果は9日、米国科学アカデミー紀要に掲載される。
(2017/5/9 05:00)