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[ 科学技術・大学 ]
(2017/10/9 05:00)
大阪府立大学大学院理学系研究科の柳日馨教授と福山高英准教授らは、昭和電工と連携し、有機薄膜太陽電池の電極材料として有力な炭素素材の修飾フラーレンの誘導体「PCBM」の高効率な合成方法を開発した。大阪府立大発ベンチャーのミクス(大阪府八尾市)製の光反応用リアクターを使い、材料となる物質を大容量で速く流すフロー合成を実現。反応時間は計3分以内と短く、1時間当たり250ミリグラム生産する実用レベルの技術を確立した。
研究グループは、多段階に分けて容器内で行う一般的な「バッチ反応」が20時間以上かかることから、反応が短時間で連続的なフローで行う「フロー反応」の合成法の研究を始めた。既存のフロー反応の合成法は滞留時間が数十分かかる上、数時間かけて数ミリグラムの生産に留まり、十分な量の確保が難しかった。
新合成法では、第1段階の炭素原子60個で構成する「Cフラーレン」と有機物の「ジアゾアルカン1」の反応と、第2段階の分子構造が変わる光異性化反応で、それぞれ単独では1分未満の滞留時間を達成した。
さらに連続でのワンフロー合成でも計3分以内に収まった。光異性化反応に、ナトリウムランプを使用し反応を効率化した。
リアクター内の流路は幅2ミリメートルで、深さは0・5ミリまたは1ミリメートル、全長3メートル。流量を確保し効率的な生産を実現した。生産装置はリアクターのほか、ポンプとミキサー、滞留時間ユニットで構成し、同様の構造を増やすことで容易に増産できる。
(2017/10/9 05:00)