[ オピニオン ]
(2017/11/10 05:00)
「iPhone(アイフォーン)はダメ。華為技術(ファーウェイ)にしなさい」―。中国ではアイフォーンを使う公務員に、自国最大手へ機種変更するようお達しが出ているという。私用の携帯電話が対象とあって、話した知人もあきれ顔だ。
米国企業のアップルに情報を全て吸い上げられる恐れがあるからだとか。米調査会社IDCによると、中国のスマートフォン市場は7―9月期もファーウェイが首位を堅持。アップルは5位と苦戦が続く。
世界最大市場の裏で大国間の“情報戦争”が激しく繰り広げられている。先週末に発売された最上位モデル、アイフォーンX(テン)が中国で入手しにくい訳は、供給不足や高価格だけではなさそうだ。
意外な米中対立を知り、ドイツが旗を振る産業政策「インダストリー4・0」を思い出した。この政策の発端も、基幹産業である製造業のデータを米グーグルなどに牛耳られる危機感からだと聞く。
日本のスマホ市場はアイフォーンが圧倒的な首位を守る。ただ中独のような懸念の声は皆無に等しい。米国に安全保障を依存する関係を前にすれば、データの行方など取るに足らない問題かもしれない。そうだとしても頭には入れておくべき問題だろう。
(2017/11/10 05:00)