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[ 科学技術・大学 ]
(2017/11/16 05:00)
大阪大学大学院理学研究科の寺田健太郎教授らは日本原子力研究開発機構などと協力し、宇宙線の一種「ミュー粒子」の連続ビームを使い、試料を壊さずに内部の炭素濃度などを定量的に分析することに成功した。有機物を含む隕石(いんせき)で確認した。リチウムや炭素など、従来は非破壊での内部分析は難しかった軽元素の定量分析が可能。小惑星からの回収物質や考古学試料の化学分析のほか、リチウムイオンなどの産業機器の元素動態分析で応用する。
阪大核物理研究センターの大強度DCミューオン施設で作った「連続ミューオンビーム」を使い、「炭素質コンドライト隕石」の特性X線分析を行った。隕石内部に含まれるマグネシウム、ケイ素、鉄、酸素、硫黄、炭素について、非破壊での定量分析に成功した。
ミューオン連続ビームを使った特性X線分析では、負ミューオンが試料内で重い電子のように振る舞い、高いエネルギーを持つ特性X線が発生する。このX線は1センチメートル程度の岩石試料を透過できるため、物質を壊すことなく内部の化学組成を調べられる。従来の電子ビーム分析では、試料表面付近の数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)程度の深さにある、ナトリウム以上の元素番号の物質しか定量できなかった。
実験は、2020年に地球に帰還予定の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰る小惑星物質の初期分析を想定し実施。有機物は電子ビームでは分析できず、化学組成などの分析には、希少な回収物質を溶解、燃焼するなどして調べる必要があった。
(2017/11/16 05:00)
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