[ オピニオン ]
(2018/5/8 05:00)
仕事でミスを犯しそうになってヒヤリとしたり、ハッとしたり。現場作業なら大事故の寸前だ。労働災害防止の観点からは、ヒヤリ・ハット事例はない方が望ましい。
とはいえ自分のささやかな経験でも、肉体的、精神的に痛い思いをして初めて得た教訓が少なくない。相撲界の“かわいがり”のように新人に無理を押しつけるような例は論外だが、マニュアルを教えるだけでは技能も、職場の安全も伝承しきれないのではないだろうか。
労働災害の件数は減少傾向にある。それでもさまざまな産業で、機械に挟まれたり、巻き込まれたりする重篤な災害や死亡事故が散発的に起こる。安全設備が格段に進歩しても、危険は排除しきれない。
工場見学に出向くと、ひとむかし前に比べて現場作業員がめっきり減ったと感じる。効率追求のために技能者の仕事は機械に置き換えられ、現場から“顔が見える仕事”が遠ざかる。
今後も人工知能やIoT(モノのインターネット)が革新をもたらし、モノづくりの最前線は変わっていくのだろう。一方で拡張現実でヒヤリ・ハットを疑似体験するシステムも開発されている。すべてをロボットに任せきりにするわけにはいかない。人と機械の共存は永遠の課題だ。
(2018/5/8 05:00)