[ オピニオン ]
(2018/5/9 05:00)
「本当にドイツ人は仕事をしないんです。有給休暇をほぼすべて取得して、夏休みは2―3週間。冬休みと春休みもある」。現地で暮らす知人の便りに驚かされた。勤勉さがつとに知られた国だ。
差出人が日本をたって1年と少し。社員にきっちりと有給休暇を取得させる義務付けもあるそうで、異なる労働文化、習慣のもとで仕事をする苦労が行間から読み取れた。
日本では、残業時間の上限規制導入など、3本柱からなる働き方改革関連法案の今国会成立が厳しいとの見方も出ている。生産年齢人口は減少の一途をたどる。いかに成長力を維持し、拡大するか。深刻な労働力不足は先行きに覆いかぶさった大きな課題だ。
「働かないドイツ」は、工業をデジタル化するインダストリー4・0を提唱し、製造業の体質強化と復権を狙う。時短で質を伴う労働力が高い生産性を生み、欧州連合(EU)最大の経済大国を支えている。
新社会人が羽ばたいて、はや1カ月余。高度成長時代のモーレツ社員を知らない世代が働き盛りを迎える時、日本でどんな働き方が主流になっているのか。IoTや人工知能(AI)が花盛りだが、働き方についてはドイツに学ぶべき点が少なくないのかもしれない。
(2018/5/9 05:00)