[ オピニオン ]
(2018/5/10 05:00)
野菜価格の乱高下が著しい。冬に高騰したのも今や昔。3月からの好天は桜の開花を早めただけでなく、スーパーに並ぶ値札も一気に下げた。農産物の値段が不安定なのは世の常とはいえ、消費者の家計管理にとっても生産者の健全経営にとっても、変動が少ないにこしたことはない。
そこで脚光を浴びているのが生産量が安定する植物工場。このほど「日本一小さい村」として知られる富山県舟橋村でもレタスやベビーリーフを育てる新工場が稼働した。
運営する北陸機材(富山市)は信号機などの交通関連機器の施工を手がける。公共工事縮減への危機感から、2009年に植物工場事業に参入した。新工場は培った電気工事のノウハウをもとに栽培用の設備を自ら整えた。
企業の参入が着々と進む植物工場だが、現状は半数が赤字といわれる。同社もご多分にもれず「利益は出ていない」と川本元充社長は漏らす。ただ、生産能力を従来の5倍に引き上げる新工場により、「再来年には2億円を超える売り上げにしたい」と意気込む。
安定供給を求める市場の要求に合致しながら、収益面から未成熟な産業の植物工場。本業の強みをいかに生かせるかが、成否を分ける試金石になりそうだ。
(2018/5/10 05:00)