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[ 自動車・輸送機 ]
(2018/5/9 18:00)
トヨタ自動車は9日、2019年3月期連結決算(米国会計基準)の当期純利益が前期比15・0%減の2兆1200億円になる見通しだと発表した。対ドルでの円高や前期に発生した米法人減税の要因が今期はないことなどによる。一方、18年3月期は売上高と当期純利益で過去最高を更新した。中長期的に投資は増加が見込まれるものの、“お家芸”とされる原価低減や生産効率の向上などを推進し、経営の原点に立脚して競争力を高める。
当期純利益が予想通り減少すれば2期ぶり。19年3月期の前提為替レートは1ドル=105円と前期比6円の円高、対ユーロでは1ユーロ=130円と前期と同額に設定した。為替変動の影響が営業利益を2300億円押し下げる。
都内で会見した豊田章男社長は「トヨタの真骨頂はトヨタ生産方式(TPS)と原価低減。お家芸を徹底的に磨くことは、今だけでなく未来を生き抜くことに必要だ」と述べた。研究開発費は過去最高の1兆800億円(前期比約1・5%増)を計画し、自動運転開発や将来のモビリティー社会を見据えた新事業の構築を急ぐ。設備投資も、新設計思想「TNGA」に基づく生産ラインの刷新などで同5・2%増の1兆3700億円を見込む。
連結販売台数(日野自動車、ダイハツ工業を含む)は前期比1万4000台減の895万台に設定。ただし連結対象外の中国合弁などを含む総販売台数は、前期比5万9000台増の1050万台と積み増す。
18年3月期連結決算は売上高と当期純利益が過去最高だった。円安や原価低減の推進が利益を押し上げた。
筋肉質な体質に変化 「たゆまぬ改善」強調
トヨタ自動車の豊田章男社長は9日、決算会見でTPS(トヨタ生産方式)と原価低減の成果について強調した。豊田社長は「たゆまぬ改善という『トヨタらしさ』があらわれはじめた決算」と語り、筋肉質な体質に変化してきたことで2018年3月期の好決算につながったと手応えを述べた。
「ライバルも競争のルールも変わり、まさに『未知の世界』での『生死を賭けた闘い』が始まっている」。IT企業などが新規参入し始めた自動車産業において、豊田社長が危惧するのは過去の成功体験。モビリティー・カンパニーにモデルチェンジするため「『従来の延長線上にある成り行きの未来』と決別し、『自分たちの手で切りひらく未来』を選択した」と説明した。
「サーキットレースからラリーに走り方を変える」。今年は役員人事を3カ月前倒しして、グループ会社や異業種から専門性の高い人物らを登用。豊田社長は役員をラリーのコ・ドライバーになぞらえ、ドライバーである自身と命を預け合う立場で大変革期に立ち向かう意志を強調した。
トヨタ自動車は9日に都内で開いた決算会見で、従来から趣向を変えた。13時半からのI部では最高財務責任者(CFO)である小林耕士副社長らが決算内容を説明と質疑応答を実施。
14時半からのII部には豊田社長が加わってスピーチし、質疑に答えた。
これまでは15時から豊田社長も参加して開始していたが、決算内容に対する質問への回答は財務担当役員に任せる場面も多かった。今回は2部構成にして豊田社長が答える回数や時間を増やし、トヨタへの理解を深めてもらおうとする姿勢を鮮明にした。
(2018/5/9 18:00)