[ オピニオン ]
(2018/9/3 05:00)
国と福井県、京都府、滋賀県など約190の行政機関が、参加した原子力総合防災訓練が福井県南部地域を中心に8月25、26の両日行われた。原子力発電所の近接・周辺地域で住民1万7300人が訓練に臨み、政府、自治体首長・職員ら含めた参加は総勢約2万1000人余に上る。
想定は京都北部での強い地震で関西電力の福井県内の2原発が同時発災したという状況。複数原発の同時発災訓練は今回が初めて。遠方の自治体からの見学者もあり、一時避難場所の運営方法などを熱心に質問していた。
参加住民の多くは屋内退避。約1割の住民が広域避難を訓練し、半島部から艦船やヘリコプターで脱出後、バスに乗って、遠くは兵庫県の三田市や三木市へ向かった。
手順を踏まえたスタッフと参加者の落ち着いた行動、夏休み行楽シーズンのピークダウンなどで、道路交通の混乱はなく一連の行動が進んだ。避難待機場で応対する県職員の1人は「本番はあってはいけないんです」と冷静に話す。
安全の仕掛けが強化された原発だが、安全神話は禁物。昨年春から福井を取材し、初めて見聞したこの訓練。事後に他地域の知人に話すと、“初耳”の人が少なくないことにも気づかされた。
(2018/9/3 05:00)