[ オピニオン ]
(2018/9/5 05:00)
今夏の異常な暑さの中で、時にはウナギを食べて精をつけようと思ったが、蒲焼(かばやき)の値段がだいぶ上がり断念した。需要に対し供給が少ないせいだ。輸入も含めウナギの供給量は2000年の約16万トンをピークに減少し、16年に約5万トンとなった。ただウナギの完全養殖の研究が進んでおり、安価でおいしいウナギが食べられることを期待したい。
ウナギの減少は世界的に深刻でヨーロッパウナギは07年にワシントン条約の付属書に掲載され、09年から貿易取引が制限された。ニホンウナギも資源量が減っており、14年に国際自然保護連合が近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種とした。水産庁はニホンウナギを利用する中国、韓国、台湾と協調し資源管理対策を進めている。
1991年に当時東京大学海洋研究所助教授の塚本勝巳氏(現・日本大学教授)らは、レプトセファルスというウナギの仔魚を採取しながら黒潮を遡ると、レプトセファルスの大きさが50ミリメートル程度からだんだん小さくなることからマリアナ沖に産卵場があることを突き止めた。
さらに「海の中でオスとメスが会う場所と時間を厳密に決める必要があると考え、海山仮説と新月仮説、つまりマリアナ沖の海山で新月に産卵する」と想定。新月に生まれた直後のプレレプトセファルス採取に成功し、両仮説を実証。西マリアナ海嶺南端部に産卵場があることを確認。09年に同海嶺海山域で卵も採取した。西マリアナ海嶺で生まれたレプトセファルスがシラスウナギとなり黒潮に乗り日本にたどり着く。我々が食べるウナギの大半はシラスを河口で採取し、養殖したものだ。「養鰻業は養殖ではなく、天然資源に依存しているという認識を持たなくてはいけない」という。
10年に水産総合研究センター(現水産研究・教育機構)が卵を人工ふ化させて成魚に育て成魚が産んだ卵を再び人工ふ化させる「完全養殖」に成功した。完全養殖のひと回りをF1といい「現在はF5段階、F10くらいになれば完全養殖もうまくいくと思っている」という。
(2018/9/5 05:00)
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