(2019/10/29 05:00)
自然災害が相次ぎ、防災対策で地図の有効性が再認識されている。新旧の地形図を容易に比較できるウェブサイト「今昔マップ on the web」が話題になり、アクセス数は従来の約3倍、1日平均約2万を超えるという。全国37地域を対象に明治期以降の複数の地形図を切り替え表示できる。
台風19号では長野市の新幹線車両基地が浸水したが、他の施設はどんな土地だったのか。サイトで検索すると、JR東海の鳥飼車両基地(大阪府摂津市)やJR東日本の新幹線総合車両センター(宮城県利府町)はいずれも昔は水田で、今も大きな河川から近い。
「大雨の時、徹夜で全車両を高架区間に緊急避難させた」と、旧国鉄OBの鳥飼基地にまつわる話を思い出す。サイトでは標高や家屋の集積度も分かり、旧地名から水に縁のある場所か否かも類推できる。
サイトを作成・運営するのは、埼玉大学教授で地理学を専攻する谷謙二さん。2006年から3800枚近い地形図を地道に収録してきた。「本来は国が過去の地図をウェブ公開すべきだ」と話す。
自治体の「水害ハザードマップ」が実際の被害エリアとほぼ一致し、避難に役立ったと評価する人が多い。今こそ、ソフト資産を生かす時だ。
(2019/10/29 05:00)