(2020/1/28 05:00)
太陽光パネルのリユースを加速したい。大量廃棄時代や自然災害に備え、環境負荷低減の取り組みは待ったなしだ。
環境省は太陽光パネルがリユース可能かどうかの判断基準を作成する産学官の検討会を立ち上げた。年式、外観、損傷の有無、正常作動の可否などが指標になりそうだ。使用可能なパネルには、特定のマークを付与することも検討する。不適正な取引を防ぎ、中古市場育成やアジア輸出につなげる。
環境省によると、設備寿命などで排出されるパネルは、30年代後半に年間約50万―80万トンに達する見込み。重量比でパネルの約6割を占めるガラスは、低コストで大量にリサイクルできるシステムが確立されておらず、大半は主に管理型処分場で埋め立て処理されている。
自然災害が多い日本は欧州に比べ新品に近いパネルが排出されやすい。一方で自家発電用パネルを導入する企業は安全面から「新品指向」が強い。加えて新品の価格低下に伴い、中古品との価格差は縮小しつつある。
こうした中でリユースを促進するには、中古品の品質を担保するとともに、「中古品だから使う」という環境意識の高い企業を増やす必要がある。
当面は事業者向けのガイドラインのみだが、国の判断基準があれば企業は安心して中古パネルを使える。また、台風や大雨などの広域災害で、パネル排出量が一時的に急増しても、埋め立て処理量を抑制できる。
中古パネルを活用する動きも出始めた。明治九州工場(福岡県八女市)は、3月に出力680キロワットの太陽光発電設備を自家消費用に稼働するが、佐賀県内で出た1000枚を超える中古パネルで発電量の約3割をまかなう。パネル製造・廃棄時の環境負荷低減に配慮した。こうした先駆的な取り組みを企業の環境評価につなげたい。
脱炭素社会実現のための太陽光発電を、産業廃棄物の発生源にしたままでは、再生可能エネルギー普及のためにコスト負担を強いている国民の理解は得にくくなろう。中古市場の健全な発展が急がれる。
(2020/1/28 05:00)
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