社説/新卒選考活動解禁 採用の好機、創意工夫で対応を

(2020/6/2 05:00)

2021年春卒業の学生らを対象にした採用の選考活動が解禁された。例年と異なる対応が求められるが、人手不足に苦しむ中堅・中小企業にとっては好機とも言える。創意工夫で人材獲得に取り組んでもらいたい。

新型コロナウイルス感染症は、企業の採用活動に多大な影響を及ぼしている。大手でも業績悪化に直面し、採用中止や採用数を絞り込む企業が増加している。いわゆる「3密」回避で、希望者を集めた就職説明会や採用試験を開催できず、オンライン面接に切り替えるといった対応もとられている。

すでに大手やIT企業のなかには、最終面接までオンラインで行い、内定を出したところもある。ただ、学生のなかには、内定を得ても直接企業を訪問したり、会社側と会話ができていないことに不安を感じ、就活を続ける意向を持つ人も多い。

中小企業は、就活支援事業者が行う大規模な企業説明会の中止で、学生への接触機会が絶たれたことに困惑する声も聞く。東京商工会議所が会員企業を対象に調査したところ、新型コロナで採用活動に「影響が生じた」とする企業が回答者の83%、採用活動を「中断・延期している」が約半分を占めた。一方、採用人数は「当初計画通り採用」が66%と、採用意欲は依然として強いことが分かった。

大企業のようなオンライン面接の仕組みがとれず、採用活動を延期し、様子をみているという状況のようだ。ただ、漫然と時期を待つのではなく、自社のウェブサイトを工夫し、事業内容やそこで働く社員の姿を伝えたり、就職希望者からの問い合わせに対応するなど、自社でやれる限りの工夫を講じ、応募者との接点を持つ努力をしていくべきだろう。

バブル崩壊やリーマン・ショック後に、企業が正社員の採用を急激に絞ったことで、就職氷河期世代が生じた。企業にとって人材確保は最も重要な経営課題である。景気動向にかかわらず一定数の人材を定期的に獲得することが、持続可能な成長の早道である。学生との対話を重ね、採用を実行してもらいたい。

(2020/6/2 05:00)

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