(2021/7/5 05:00)
動物の行動原理を科学の力で解明するエソロジーは、感染症対策の光明となるか。分子レベルでメカニズムを突き止められれば、病原体媒介動物の行動を制御し、感染リスクを減らせる。
東京慈恵会医科大学講師、佐久間知佐子さんの研究はエソロジーへの貢献が期待される。蚊は血をどのようにして味わい満腹になるか。吸血行動の分子基盤を明らかにし、吸血を忌避したり、満腹と勘違いしたりする物質を探索している。
蚊が媒介するマラリアによる死者は世界で年間40万人に上ると推定され、国内ではデング熱の感染を起こした。遺伝子組み換えで病原体を媒介しにくくした蚊を放つ方法もあるが、野生種は繁殖力が強く置き換えは難しい。
「蚊の遺伝子を操作するのではなく、蚊に外から作用できる物質を見つけ、塗布や服用を可能にしたい」と佐久間さん。実際にクスノキ精油の苦味物質を入れたハンドクリームを塗ると、蚊は味見をするが吸血はしない。
吸血行動は嗅覚と味覚による神経的制御が必要になる。殺虫剤で駆除するのではなく、吸血抑制成分で蚊の行動を人為的に操作できたら。病原体と共生の時代を生き抜く知恵は、このしなやかさにあるかもしれない。
(2021/7/5 05:00)
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