(2021/8/9 05:00)
「おもてなし」をどれだけ伝えられただろうか。東京五輪が8日、閉幕した。ゲーム音楽で行進した開会式や、狭い日本式住居をベースにした選手村など、関係者にとって新鮮な経験だったろう。ただコロナ禍による無観客で、街と一体のイベントにはなれなかった。
前回リオデジャネイロ大会を上回る日本として過去最多のメダル。兄弟の活躍も、ローティーンの台頭も印象的だった。開催の是非すら論じられる中、鍛錬を怠らなかったアスリートに敬意と感謝をささげる。
聖火が消えるとともに暦は秋に変わった。新型コロナウイルスのデルタ株は残暑の中でも猛威を振るい、感染増加に歯止めがかからない。ワクチンの有効性は明らかだが、それでも怖さが残る。
社会はまだ、コロナと共存する方法を見いだせていない。しかし医療体制を短期間で拡大するのは不可能であり、都市封鎖のような対策も現実的ではない。必要・不要を区別しながら、外出や会合を自粛するしかない。
24日にパラリンピックが開幕する。競技の迫力や魅力が五輪に劣らないのは過去の大会で実証済み。「おもてなし」を選手らに感じてもらえるよう、萎縮しすぎずに距離を取りながら応援したい。
(2021/8/9 05:00)