(2021/8/12 05:00)
生産性向上と環境対策が求められる現在の状況は、日本の建設機械業界にとって好機だ。情報通信技術(ICT)建機や遠隔操作で培った技術の蓄積を生かし、世界で存在感を高めたい。
資源価格の上昇で、世界の大手鉱山企業には追い風が吹いている。他方で世界的な気候変動への意識の高まりを受けて、鉱山企業にはショベルやダンプトラックが排出する二酸化炭素(CO2)の削減や、ゼロエミッションが求められている。
鉱山現場では、多数の油圧ショベルやダンプが行き交う。国内で使われるものよりはるかに巨大で、CO2排出量も多い。鉱山現場では、張り巡らせた架線から電源を取る電動ダンプトラックの開発がすでに始まっており、コマツや日立建機などの日本企業が“挑戦”している。環境対策で、この動きはさらに強まるだろう。
コマツは鉱山操業のゼロエミッション実現に向け、リオティント、BHP、コデルコ、ボリデンの大手鉱山4社と「コマツGHGアライアンス」を8月に発足させた。日立建機はABBと、フル電動ダンプトラックの共同開発契約を結んでいる。稼働に必要な電力を架線から取り込むことで車体に載せる電池の重量を抑え、その分積載量を増やし稼働率も向上できる。コベルコ建機は飛行ロボット(ドローン)メーカーや測量機器メーカーと共同で、建機の遠隔操作研究を加速している。
コロナ禍で現場への作業員移動が制限されていることも、ICT化や電動化にとっては追い風だ。資源需要は根強い一方、環境対策ができる鉱山会社とできない鉱山会社の差は広がり、寡占度が高まる事態も想定される。彼らが求めるのは自動化が進み、CO2排出量が少ない建機であり、中国企業が得意とする安価一点張りの建機とは性能で優位にある。需要家の環境意識の高まりは中国製建機との価格競争回避にも役立つ。
無論、キャタピラーなど欧米メーカーとの競争や技術の困難さは続く。環境に配慮した資源開発で役割を果たし、市場の評価を勝ち取ってもらいたい。
(2021/8/12 05:00)
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