(2021/9/9 05:00)
医療・福祉の社会的な負担を減らす意味でも、行政の積極支援が望まれる。
介護施設の人手不足が深刻になっている。高齢化の進展によってヘルパー不足だったところに加えて、コロナ禍による感染防止対策が追い打ちとなった。
介護施設でまず思い浮かぶのが食事や入浴、排せつなどに伴う介助だ。高齢者はこれらの動作が自分でできなくなるし、認知症が進めば、やはりヘルパーの介助が必要になる。1人の入居者にヘルパーが付ききりになるケースも珍しくない。施設運営の面からも、省力化と負担軽減が求められる。
とはいえ、これらの作業をロボットに置き換えることは容易ではない。動作が不自由な部位や程度、認知症の度合い、その時々の入居者の精神状況によっても必要な作業が異なる。中にはロボットに拒否反応を示す場合もあるだろう。転倒や発作などのアクシデントでもケガをさせない安全配慮も必要だ。
一方、ロボット介助なら「世話をかけて申し訳ない」「身体を見られるのが恥ずかしい」といった高齢者の心理的負担を軽減できる。夜間や休日でも入居者の希望に応じてサービスを提供できる利点もある。
産業側の動きも活発になってきた。SOMPOホールディングスは昨年から子会社と共同で、東京都品川区の介護施設で各種の介護ロボットの実証実験に取り組んでいる。他にもサイバーダインや大学発ベンチャーが開発を進めている。
現状では、まだ利用者の多様性にロボットがついて行けていない。ただ人工知能(AI)や画像処理技術、赤外線センサーなど周辺技術は急速に進歩している。使い勝手の向上や価格低下が期待される。
介助目的だけでなく、動物型の愛玩ロボットや話し相手になるロボット、遠方の家族にとって頼りになる見守りロボットなどの需要もあろう。
高齢化の先進国である日本としては、ノウハウを重ねて新たな産業に育てるチャンスでもある。開発の加速に向け、公的支援をお願いしたい。
(2021/9/9 05:00)
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