産業春秋/明かりのありがたみ

(2021/10/21 05:00)

ようやく「灯火親しむべし」がなじむ季節になった。秋の夜長はじっくり読書をするのにふさわしいとの意味で、中国唐代中期の詩人、韓愈の『符読書城南』に一節がある。

古来、明かりは安心の証でもある。太平洋戦争末期は米軍機の空襲に備え、灯火管制が敷かれた。終戦で暗幕を外した裸電球のまぶしさが忘れられないと祖母から聞いた。

東日本大震災では関東の一部も停電で漆黒の闇に包まれた。わが家はキャンプ用ランタンを囲んで夕食をとった。ラジオから流れる被災情報に、家族が無事でいることに感謝した。

新型コロナ対策で緊急事態宣言が発出されると、歓楽街から明かりが消えた。宣言が解除になっても客足はなかなか元に戻らない。感染が落ち着くまでもう少しの辛抱か。

きょうは「あかりの日」。エジソンが1879年、白熱電球を発明した日にちなみ、日本照明工業会、日本電気協会、照明学会が制定した。小学生を対象にしたポスターコンテストなどを開催している。世界では今も人口の約1割が無電化地域で暮らす。現代人は便利さのあまり電気の明かりのありがたみを忘れてしまいがちだ。ともしびの下で読書にいそしんだ時代に思いをはせたい。

(2021/10/21 05:00)

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