産業春秋/為替介入、あの日の8兆円

(2022/4/22 05:00)

11年前の2011年10月31日。円相場が1ドル=75円32銭と対ドルで過去最高値を更新した日だ。民主党政権下、安住淳財務相(当時)は「納得がいくまで介入する」と語り、政府・日銀は同日に約8兆円規模の円売り・ドル買いの為替介入に動いた。

介入により、同日の東京市場は1ドル=78―79円台に急落。同年8月4日にも4兆5000億円規模の円売り・ドル買い介入を実施しており、歴史的な円高局面では為替介入が頻繁に行われていた。

為替介入は11年11月4日を最後に実施されていない。12年12月26日には自民党が与党に復権し、「アベノミクス」の金融緩和が円安と株高を誘発。財務省が為替介入の実績を公表する「外国為替平衡操作の実施状況」には「ゼロ」が並ぶ。

足元の円安進行。市場では為替介入の可能性もささやかれるが、難しいとの見方が有力だ。インフレ退治を進める米国の通貨当局が、その効果を緩和させる協調に同意することは想定しにくい。

むしろ日銀は円安に動きやすい「指し値オペ」と呼ばれる金融緩和策を21―26日に実施する。金利上昇と円安進行のどちらを抑制すべきなのか。日銀は金利上昇を抑える道を選んだ。円安に収束の気配はない。

(2022/4/22 05:00)

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