(2022/12/13 05:00)
景気よりインフレ退治に躍起な米欧の中央銀行が、政策金利の利上げ幅を縮小し、景気配慮の政策に修正するかを注視したい。2023年は世界経済の減速が見込まれ、米欧は物価と同時に自国景気の下支えも求められる。ただインフレ抑制が遅れれば金融引き締めの出口が遠のく。どこまで経済減速を許容するのか政策判断を見極めたい。
米連邦準備制度理事会(FRB)は13、14の両日、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行は15日にそれぞれ金融会合を開く。金融市場ではいずれの会合も利上げ幅の縮小を予測する。インフレ率がピークアウトしつつあるとの期待や、政策金利の最終到達点を見据えて利上げペースが減速すると読む。
米FRBは0・75%の利上げ幅を修正し、0・5%とする案が有力だ。10月の消費者物価指数は前年同月比7・7%上昇と4カ月連続で減速し、7―9月期の個人消費は前年同期比1・4%増と前期の同2・0%増より鈍化。利上げ幅縮小の環境が整いつつある。ただ米FRBは9月に4・6%とした政策金利の最終到達点を5%前後に引き上げる見通しで、小幅な利上げが長期化する懸念が残る。
ECBは15日の会合で政策金利を0・5%上げ、前回の0・75%から縮小する見通しだ。ユーロ圏の11月の消費者物価指数は10%上昇と10月の10・6%から改善し、インフレのピークが過ぎたと期待する。またEU欧州委員会は10―12月期と23年1―3月期の2期連続でユーロ圏はマイナス成長と見通す。
ただユーロ圏は国ごとにインフレ率に差がある。11月の上昇率はフランス7・1%、スペイン6・6%に対し、ドイツ11・3%、イタリア12・5%。3会合連続で0・75%の利上げを求める声もあり、国によっては利上げ幅次第で景気後退を早めかねないことに留意が必要だ。
歴史的なインフレ退治を最重要課題に掲げる米欧の中銀。厳しい金融引き締めを継続すべきか、景気に配慮した政策の修正局面を迎えているのか。23年の世界経済を占う分岐点に立っているだけに慎重に判断したい。
(2022/12/13 05:00)
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