(2023/10/17 12:00)
リクルートは7月、東京都千代田区の本社オフィス22階をリニューアルした。壁のない勤務スペースや、テストマーケティングなどに使える展示スペースを設置。社員がコミュニケーションを取ったり、社外から人を招いたりしやすい空間を目指した。「出社しない働き方」を前提とする一方でオフィスに工夫を凝らす背景には、出会いを促すことで生産性、創造性の高い働き方につなげる狙いがある。
リクルートは2021年に国内7社を統合。新会社が目指す姿を、垣根を超えて多様な個が出会える「CO―EN(公園、コ・エンカウンター)」と位置付けた。本社オフィス22階は、それを体現する存在だ。
ガラス張りのセミナールームの前には、リラックスできるラウンジを設置。カーテンで仕切ることで、小規模なイベントを開ける場所も設けた。社員食堂の機能もあり、ランチのほか朝食やアルコールの提供もしている。開放感のある空間で、社員はミーティングや資料作成などを進めている。
同社は統合に当たり、多様な考え方や背景を持つ社員が個々の能力を発揮できるよう人事制度を見直した。1日当たりの所定労働時間を7・5時間から8時間にし、年間休日を130日から145日に増加。年間所定労働時間と給与は変えずに、年平均で週休約3日制を実現した。また特定の要件や属性にとらわれない休暇制度に変更し、ペットも含めた家族のために取得できる最大年間5日のケア休暇などを設けた。柔軟性を高め、自律的でメリハリのある働き方を支援する狙いだ。
働く場所についても、理由・回数を問わないリモートワーク制度を全社で導入。自宅や自社オフィス、サテライトオフィスなどから最適な場所を選びやすくした。ワークプレイス統括室の佐野敦司室長は「会社が主、自宅が主という考えではない」とし、本社オフィス刷新の意図についても「出社を促しているわけではない」と強調する。
一方で「同じ空間で仕事をすることで生まれる人のつながりが生産性や創造性を高め、イノベーションにつながるという考えは当社が創業以来大事にしていることだ」と話す。社員が「集まりたい」時に適した空間を目指してオフィスを構築。社員食堂は“おなかでつながる”をコンセプトに、毎日のメニューを専用アプリケーションで確認可能にした。かまど炊きのご飯を提供するなど味を追求し、会話が弾むための工夫をしている。22階よりも上層にある執務スペースにおいても、組織の個性を表現したり、必要な時に顔を合わせやすいレイアウトにしたりと、小さな“公園”の創出を目指している。
統合を経て外部環境も大きく移り変わる中、上意下達ではなく個人やチーム発信のイノベーションが必要だと同社は認識する。個々の能力や好奇心を生かした働き方やそれを実現するためのワークプレイスの構築に向け、模索が続く。
(2023/10/17 12:00)
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