産業春秋／大谷選手MVPとグローブ寄贈

米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手がア・リーグの最優秀選手賞（ＭＶＰ）を受賞した。全米野球記者協会による選出で、２度目の満票での受賞は史上初。３月のワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）でもＭＶＰに輝いた。大谷で始まり大谷で終わった野球シーズンだった。

その大谷選手が、全国２万校の小学校に３個ずつ計６万個のグローブを寄贈する。特別支援学校も含まれる。贈るグローブも三つのうち一つは左利き。どのような子どもでも楽しくキャッチボールができるように、との思いが伝わる。

少年野球チームが加速度的に減っている。全日本軟式野球連盟に加入する小学生（学童）チーム数は１９８０年の２万８０００が２０１２年に半数の１万４０００、２２年は９８４２と１万を割った。

少子化だけが理由ではない。朝から夕方までチームに帯同する保護者の負担、高額な用品、競技の多様化が背景にある。猛暑や凍える冬の練習への帯同。私自身は懐かしい思い出だが捉え方はさまざま。

大谷選手が贈るグローブは２４年３月頃に配り終わるそうだ。少年野球人口が増加に転じるか分からないが、大谷選手の人柄や人間性に憧れる子どもが増えてほしい。