(2023/11/21 12:00)
ノーブル電子工業(神奈川県綾瀬市、土橋恒一社長)は、建物の空調や製造設備で使う自動制御盤のメーカー。自動制御盤の設計から製造、組み立て、メンテナンスまでを一貫して扱う。ビル空調向けの自動制御機器が好調で、配線工程の多くを海外出身者や子育て中の女性従業員が担う。同社は多様な人材が快適に働く環境を整えて、生産性を向上してきた。
ノーブル電子工業は、従業員140人のうち60人が女性だ。2014年、ベトナムにソフト関連の子会社を設立したのを機に、海外人材として技能実習生を受け入れ、現在は24人の海外出身者が在籍する。
土橋社長は1995年に専務として入社。当時は従業員が4人で、委託業務向けの自動制御盤組み立てを受注していた。「倉庫の中も整理されておらず、古い資材が次々とムダになっていた」と土橋社長は振り返る。「職場環境が整えば従業員の製品に対する意識が向上し、人も増やせる」と職場環境と働き方の改善を決意。5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を軸とした生産改善やムダを省く活動に力を入れ、人材を拡充した。
製造工程も見直し、独自のジャストインタイム生産方式を導入。設計部門がどの部品をどのサブパネルに取り付けるかなどを記載した「現品票」を作成し、部品を選定したキットとサブパネルを1台の台車に搭載。まとめ工程までモノの流れを一元管理し合理化した。
また、工場内の掲示板で各製品がどの工程にあるのか、進捗(しんちょく)状況を一目で確認できるようにし、物の流れと情報の流れを合致させる「情物一致」を具現化。最終的な部品余りによる不良品の発生防止や在庫の最小化など、製造工程のムダをなくし、作業者はそれぞれの作業に集中できるようにした。平台で行う配線作業は、身長の低い女性従業員でも手が届くように改善した。
斜めの作業台や重労働を軽減する台車は特注品を使用。図面、台、機器などに端子番号を記載し、電線を色分けして分かりやすくするなど、作業者目線の工夫をし、生産性も向上した。本社工場の設備や人員を増強し、21年には高圧受変電設備の点検・メンテナンス事業にも参入するなど業務を拡大させている。
4月には社内規定を改定し、育児休職の取得期間を従来の最長2年間から同3年間に延長した。女性社員からの「保育所は空きがないので幼稚園に入園させたい」との要望に応えた。「短時間勤務制度」も拡充。取得できる時期を子どもが小学3年生までから6年生で卒業できるまでに延長し、薬局が閉まる前に薬を取りに行ったり、子どもの送り迎えをして仕事に戻ったりと柔軟に働けるよう5分刻みで休めるようにした。
土橋社長は「昨今言われている働き方改革を意識したことはない。製造業として環境の変化に合わせた効率化は常に考えていかなければならない」としており、今後も働きやすい職場づくりが続く。
(2023/11/21 12:00)
総合1のニュース一覧
- 第61回技能五輪全国大会、トヨタが9職種で「金」(23/11/21)
- 鹿島、「ロックボルト工」自動化 山岳トンネル機器開発(23/11/21)
- 日産、米で10%賃上げ 人材確保へビッグ3・日系2社に追随(23/11/21)
- ノーブル電子工業、多様な人材 働きやすく 海外実習生・女性 職場環境を改善(23/11/21)
- 大神、社長と従業員 1対1で面談 心身の健康・悩み把握(23/11/21)
- 働き方改革/【Q】部下に有給休暇を取らせたい(23/11/21)
- 島津、環境配慮素材に転換 分析計測機器から採用(23/11/21)
- 双日、東北から全国へ農業一貫支援を拡大 タマネギ・ニンジン安定供給(23/11/21)
- レゾナック、先端材料開発向け半導体人材4割増 28年めど100人体制(23/11/21)
- 補正予算/文科省、機関リポジトリ強化に100億円 論文の無償活用推進(23/11/21)
- オムロン、CT型検査装置を来年投入 パワー・先端半導体向け(23/11/21)
- 産業春秋/牛尾さんはすごい方だった(23/11/21)