IT駆使し「グリーン電力」安価に提供 TGオクトパスエナジー、顧客システム柔軟設計

(2023/11/30 12:00)

TGオクトパスエナジー(東京都港区、中村肇社長)は、東京ガスと英国の電力小売り会社であるオクトパスエナジー(ケンブリッジ市)が2021年2月に設立した新電力会社。21年11月に電力供給を開始し、沖縄県を除く全国で、この2年間に20万件超のユーザーを獲得した。

  • 東京・六本木の新本社には、カフェなどを楽しめるスペースも用意した(中村社長)

急成長の理由は電気料金の安さにある。英オクトパスと同様、環境価値を持つ「非化石証書」を紐付けた実質再生可能エネルギー100%の「グリーン電力」を安価に提供。再生エネ電気という価値を提供しながら、既存の電力会社に負けない低価格を実現した。

それを可能にするのがIT化によるコスト削減だ。「インターネットの活用に徹底的にこだわり、電話では申し込みもできないようにした」と中村社長。電話だと顧客情報を入力する手間がかかるが、顧客が入力することで情報の正確性を確保。メールや会員制交流サイト(SNS)を通じて顧客に情報を提供する。

ネットの弱点に着目し、課題解決に力を入れているのも特徴だ。他社の場合、コールセンターで相談を受け付け、内容に応じて各窓口に転送される。その場で答えてもらえないと、たらい回しにされる可能性もある。

これに対し、オクトパスが開発した顧客管理ソフトウエア「クラーケン」を使い、いつも同じ人・チームにつながる仕組みを構築。人工知能(AI)で顧客情報を蓄積しており、迅速な対応で顧客満足度を高められる。1チーム7―8人で、現在は3チームで対応。「3分以内の解決を目指す」という。

ソフトを開発したのは、同社が電力自由化で誕生した新参者だからだ。既存の電力会社は堅牢な顧客システムが基盤にあり、機能を付加すればするほど複雑化する。だが元々の顧客基盤がないため、必要な機能を一から開発できる。自由化による制度の激変を前提に開発し、ソフト改修にも柔軟に対応する。

「さらなるネットの活用で、3年後に100万件のユーザーを確保したい」。中村社長はそんな構想を描いている。 

(2023/11/30 12:00)

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