産業春秋/いちご王国の主役交代

(2023/12/4 05:00)

スーパーの店頭にイチゴが出回り始めた。「いちご王国」を宣言する栃木県の主役品種は「とちおとめ」から「とちあいか」に交代している。背景には知的財産についての苦い経験がある。

2021年産まで54年連続イチゴ生産量全国1位の栃木県にあって、とちおとめは30年近く生産の大半を占めてきた。それが23年、県内イチゴ農家の作付面積は、とちあいかが5割を超えた。

とちおとめは韓国に流出し、他品種と交配したものが日本に輸入されたことが17年に発覚。後継と目された「スカイベリー」も同年、中国のインターネット会社に商標登録されていたことが確認された。ともに輸出機会の大きな損失となった。

とちおとめは商標登録をしていなかった。種苗法における育成者権も11年に消滅し、だれでも自由に栽培が可能になった。とちあいかは18年に品種登録が、20年に商標登録がなされ、栽培は県内限定。種苗販売も許諾した県内団体に限られる。

イチゴの出荷最盛期は12月から5月。甘さ際立つとちあいかは病虫害に強く、栽培しやすい。とちおとめより粒が大きく、単位面積当たりの収量も上がる。いちご王国の座は揺るぎない。中韓への品種流出も許さない。

(2023/12/4 05:00)

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