(2023/12/29 05:00)
人手不足に直面しながらも求人を見送らざるを得ない―。企業の厳しい実情が垣間見える。11月の有効求人倍率(季節調整値)は1・28倍で前月から0・02ポイント低下した。
コロナ禍からの経済回復で上昇基調にあった22年から一転、23年は下落傾向にある。求人数は23年春以降、減少傾向にあり、11月は減少幅がさらに拡大した。
年末年始、繁忙期を迎える飲食や宿泊サービス業は、ぎりぎりの体制で業務を切り盛りしているところが少なくない。求職者の数は増えており、求人を出せば採用につながる可能性はある。
にもかかわらず、これを手控えるのは、物価高に伴う収益悪化で新たに人を雇い入れる余力に乏しいことが一因だ。特に飲食・宿泊サービス業の新規求人のマイナス幅は他産業を大きく上回る。インバウンド(訪日外国人)需要の回復が一巡し、関連業種の求人が急速に減少し、労働市場は再び調整期に入ったとの見方もある。
懸念されるのは、こうした雇用情勢が賃上げに与える影響だ。24年春闘はデフレ脱却へ官民が歩調を合わせ意欲的な賃上げが期待される。問題はその先。労働力需給の緩和が賃金上昇率を鈍らせる方向へ作用しないか。その相関も気になる。
(2023/12/29 05:00)
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