社員が“ワクワク”する職場 ローランドDG、新本社で創造性刺激

(2024/1/23 12:00)

ローランド・ディー・ジー(DG)は浜松市浜名区に新本社棟を建設し移転、2023年11月に業務を始めた(開始当時は同北区)。社員の働きやすさや創造性を刺激することを追求し、オフィスにはさまざまな工夫を凝らした。「世界の創造『ワクワク』をデザインする」という会社のパーパス(存在意義)を示すためには、「まず社員が『ワクワク』することが欠かせない」(田部耕平社長)と考えたからだ。

  • 窓側の開放的な雰囲気の中で活発な意見交換を引き出す「交流エリア」

新本社棟は地上3階建て、延べ床面積は約7600平方メートル。開発や管理、営業部門が入り、敷地内の「都田棟」と合わせて300人程度が勤務する。

新棟の建屋内は仕事内容に合わせて働く場所を自由に選べる「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」の考え方に基づいたオフィス空間に設計した。何より「隣の部署が何をやっているか分からない『サイロ化』をなくしたかった」(田部社長)という狙いもある。

建屋からは、天気の良い日は富士山山頂が見える。各階は「集中」「共有」「交流」「創造」と、それぞれのシーンに合わせたエリアに分けている。集中エリアはデスク以外にも、窓際に簡易ブースで囲われた空間を設置し、個人が業務に没頭できるようにした。交流エリアは窓側の開放的な雰囲気の中で、活発な意見交換が生まれる環境を目指した。リモート会議に向いた個室ブースや、さまざまな規模の会議室も備えている。

1階の交流エリアにはカフェコーナーも設けた。設置した無料のドリンクサーバーの利用者は順調に増えている。集中と交流両エリアの間の共有エリアは、従業員の打ち合わせや情報共有に使用し、静かな場所とにぎやかな場所との緩衝空間の役割も持つ。

  • ひらめきが生まれる空間を目指した「創造エリア」

創造エリアは一般的なオフィスの印象とは異なる。窓に向かってソファを置き、リビングのように落ち着いて思索にふけることができる。畳敷きのスペースも用意した。

1階に設けたショールームには同社製のプリンターで印刷したユーザーの製品を展示。グループ会社であるリトアニアのDGダイメンスの技術で印刷によるエンボス加工を施した壁紙のサンプルも紹介している。

社員の要望を受け、オフィス空間以外の設備も用意した。1階にはシャワールームを2部屋設置。3階にはクラブ活動などに使えるトレーニングルームがある。

新本社棟の建設に先行して、フレックスタイム制度の拡充などの多様な働き方を支援する制度面の充実にも取り組んできた。在宅勤務の月間限度日数は10日間と定め、利用率は52%に達している。

さまざまな工夫を凝らし従来建屋から大きく変わったため「新しいオフィスをうまく使ってもらえるか懸念もあった」(同)。だが特に若手や中堅社員はいち早くなじんでいる。一部には実際に使ってみた時点で明らかになった課題もあるため、随時改修を施している。

(2024/1/23 12:00)

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