(2024/1/25 12:00)
JTは2023年7月に人事部と不動産部、法務部の3部門で人工知能(AI)検証プラットフォーム(基盤)の試験導入を始めた。その後対象を拡大し、研究開発(R&D)など30部門で導入している。多くの企業と異なるのは、AI導入を全社的な強制としていない点だ。「各部署では業務効率をアップできるかどうか検証のために使っている。使えるようなら各部署で作り込んで運用していく」(山形典孝IT部課長代理)計画で、柔軟性のある運用体制を構築している。
AI検証プラットフォームは「JTグループAIコンシェルジュ」(JAC)の名称で、PwCコンサルティングと協業し、JT専用として作成した。
主な機能は三つある。一つ目はチャット型で、JTの社内情報は入っていない。言葉や文章を入力すれば文章回答を得られる。米オープンAIの「チャットGPT」と同様だが、「オープンではなく社内限定の環境で運用するため、どのようなことを入力しても、外部への情報流出はない」(加藤正人IT部次長)。
二つ目と三つ目の機能では、データファイルなどの社内情報を事前に処理させて格納。キーワードや質問などを入力すると、格納した中から生成AIが文章形式で回答する。具体的には格納した資料の中から最適結果と判断した上位三つの資料を要約し、文章を作成して表示する。生成AIが最も得意とする領域だ。余計な情報を加味しないよう上位三つの資料からに限定しているのもJACの特徴といえる。
三つ目の機能では、AIが文章の意味を解釈後、最も適した文書データを一覧表示する。「単なるキーワード検索ではなく、AIが意味を理解しているのが特徴」(山形課長代理)という。
例えば、社内から規定に関する問い合わせがあった場合、多くの資料から関連する規定を探し出し、それを基に回答を作成する必要がある。JACを活用すれば対象の規程を素早く検索し、対応にかかる工数を軽減できる。担当者が見逃しがちな文書を発見する可能性もある。
現在30の部署では、情報を入力してどの程度の検索精度なのか、その精度で業務がどの程度改善されるかなど利用状況の検証が始まっている。「AIにも得手不得手がある。その領域を知っておくことが業務での活用につながる。社員には一度挑戦してもらい、その上で自ら業務改善できるようになっていってもらうことを目指している」(加藤次長)。
(2024/1/25 12:00)
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