(2024/1/25 17:00)
日本工作機械工業会(日工会)が25日発表した2023年の工作機械の受注実績(確報値)は、前年比15・5%減の1兆4865億1900万円と3年ぶりに減少した。コロナ禍に伴うペントアップ(先送り)需要があった22年と比べ、半導体や自動車関連の需要が落ち着き、中国経済減速の影響も受けた。ただ受注水準は過去7番目と高く、稲葉善治日工会会長(ファナック会長)は「根強い需要に支えられながらまずまず健闘した1年」と評価した。
不動産不況の影響を受ける中国は同27・3%減の2740億円と4年ぶりに減少。好調だった電気自動車(EV)関連投資なども落ち込んだ。
米国は同9・6%減の2820億円。医療や航空機関連などが堅調で過去3番目の受注水準となり、外需の地域別では4年ぶりに中国を抜いて首位となった。インドは自動車や電気・精密関連などが堅調で、同26・5%増の511億円と過去最高となった。
23年12月単月の受注実績は前年同月比9・6%減の1270億8800万円と12カ月連続で減少した。
内需では電気・精密のうち精密機械向けが同60・5%増と伸びるなど、半導体製造装置関連の先行投資が見られた。ハイブリッド車(HV)関連でまとまった投資があった自動車のうち、車部品向けが同12・1%増と2カ月連続で増加した。
稲葉会長は自動車関連の設備投資について、日本でEVやHVなどで投資が分散する可能性を指摘した上で「一過性ではないのではないか」と見る。
日工会は24年の工作機械の年間受注額が前年比0・9%増の1兆5000億円、うち内需は同11・2%増の5300億円、外需は同3・9%減の9700億円になるとの見通しを示している。稲葉会長は中国市場について「この不況がどこまで続くかは見通せない状況で少し固く見ている」と不安視した。
(2024/1/25 17:00)
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