(2024/1/25 12:00)
日本航空(JAL)は2023年に国内線運賃を全面刷新し、従来の9種類の運賃に比べシンプルで利用客に分かりやすくした。運賃が変わることで、ITシステムもシンプルになり、業務効率化につながっている。デジタル推進部レベニューマーケティング推進グループの西嶋正浩グループ長は、「運賃を基点に良い循環になった」と手応えを語る。
23年4月12日搭乗分から適用された国内運賃は、搭乗当日まで購入できる「フレックス」、搭乗1日前まで購入できる「セイバー」、搭乗28日まで購入できる「スペシャルセイバー」の3種類で、フレックスのみ予約変更が可能だ。どれが最も低価格で、最も早くに販売が締め切られるかが、名称から受けるイメージと直結する。
従来の「特便」や「先得」はどんな運賃なのかイメージしにくい。「先特割引タイプA」や「同B」、「スーパー先得」などの種類があり、複雑だった。
「競争環境などで増やしてきた結果、利用客に分かりにくく、管理も難しくなっていた。そこで根っこから変えた」(旅客営業戦略部レベニューマネジメント企画グループの吉本卓也グループ長)。
旅行会社が販売する団体パック旅行向けの運賃もシンプルなものに改定した。従来はJALの営業担当が1件ずつ打ち合わせして見積もりをしていたが、新運賃はシステムを使い自動で見積もりできるようになった。
新しい運賃は業界標準に沿ったもののため、ベンダーが提供するソフトウエアや、人工知能(AI)などのデジタル技術を利用することも容易になったことも大きな変化だ。最先端の技術を使ったデジタル変革(DX)の加速につなげられる。
また、多様な運賃があると予測モデルを使っても最適解を見つけにくかったが、「新運賃はシンプルなため、予測モデルの力を最大限に発揮できる」(吉本グループ長)。「今この航空券をいくらで売るべきか」を予測しやすく、収益への貢献も期待できる。
運賃を基点に、利用客へのサービスを向上することに加え、業務面でも良い循環を生み出す。
(2024/1/25 12:00)
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