(2024/2/1 12:00)
小野薬品工業は生成人工知能(AI)を活用して医学論文を分析し、メディカル戦略の構築につなげている。膨大な数の論文からトピック抽出や需要トピック間の関連性、重要度ランク付けを時系列で可視化、臨床上の課題の見落とし防止やアンメットニーズ発見に生かす。論文解析での活用を2024年度に全社に拡大する。将来的には医師からの情報やプレスリリース、インターネット情報など論文以外の情報源分析への活用も検討する。
小野薬品はアイエクセス(東京都中央区)と共同で医学論文のトピック抽出・分析AIシステムを開発した。メディカルアフェアーズ活動に適合させた独自のトピック抽出モデルであるAI自然言語処理アルゴリズムを搭載し、世界の主要な医学系雑誌に掲載された学術論文の書誌情報を調査できる医学関連分野の無料の文献データベース「PubMed」に収載されている3500万件を超える全ての医学論文を学習させた。
膨大な医学論文全体の重要トピックを俯瞰(ふかん)的に捉え、過去から現在までの研究トピックを迅速に把握できる。人が読み取っていた従来作業に比べて大幅な効率化に加え、俯瞰的な把握が可能になった。メディカル戦略の計画立案では担当者個人の知識や経験などの違いによるプロジェクト間の隔たりを是正できる。
開発には2年弱を要した。AIの知識がない中での開発で苦労があったが、アイエクサスとスムーズに擦り合わせでき、使い勝手も高められた。
AIシステム活用での分析作業を現在のメディカルアフェアーズ統括部のみから全社に広げる。全社での効果的な利用に向けて活用する範囲が広がるため「ノイズを排除し切れていない」(メディカルアフェアーズ統括部)のを課題とする。
データ蓄積による機械学習でのAI能力向上やノイズワードの設定数増加などで改善を図る。当初は完全機能ではないかもしれないが、全社拡大でユーザー数が増えればデータ蓄積が進んで高精度な検索が可能になる見込みで「時間が解決する」(同)と捉える。
論文以外の情報源活用についてはノイズが入って分析の質が落ちる可能性がある。「分析のエビデンスとして用いられるのか注意や処理が必要」(同)と認識する。正確性や重み付け、言語のリンクなどAI技術の進展にかける部分もあるが、外部情報からトレンドをつかむためのツールとして発展させたい考え。半年後や1年後に応用できる技術が出る可能性があり「AI技術にアンテナを張る」(同)と注視する。
(2024/2/1 12:00)
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