(2024/2/2 12:00)
―自動車部品などを手がける松本興産(埼玉県小鹿野町)の取締役として考案したのが「風船会計」です。
「売上高を風船に、貸借対照表を豚の貯金箱に置き換え、絵で見て直感で分かるというのをイメージした。業績を社員に説明しても伝わりにくく、単に売上高や利益が増減したというのでは面白くない。会計は企業の『通信簿』ではなく、会社や組織の進むべき道を教えてくれる『宝の地図』。社員全員が心を寄せられる、一つの方向に向かうことができるものに風船会計で変えたかった」
―実際にどう変わりましたか。
「自社の強みや弱みがどこにあるのか、どういうポジションにあるのかが分かる。当社の潜在能力にも感動した。視野が広がり、事業を伸ばせそうと視線が上がった」
「セミナーや講義を全国で開いている。中小企業経営者の8割が決算書を読めないと言われているが、決算が分かれば売り上げは伸び、日本はさらに活性化する。当初は中小企業経営者向けを想定していたが実際は中小企業だけではなく大企業からも話が来ている」
―対外的な発信力を高めるため、Star Compass(東京都武蔵野市)を設立し社長に就きました。
「初めは別会社をつくる考えはなかった。セミナーをやり、本を出版したら想像以上に反応が良かった。松本興産の取締役ではあるが、夫が社長で自分はナンバーツー。サポートして社員を引っ張っていく役割だ。肩書を脱いで個として試したい、違う経験をしたいという思いがあった」
―女性活躍や起業がテーマとなる中、現状をどう見ていますか。
「2023年11月にカタール・ドーハで開かれた世界の教育関係者らが集まる『WISEサミット』に参加して意識が変わった。女性リーダーの参加が多く、裕福ではないリーダーもいた。それでも輝いていた。日本は女性の社会進出の遅れや管理職が少ないという指摘もある。国に改善を求めていくことは大事だ。だが、意識のところで、やりたいことを素直にやる、飛躍する勇気さえあれば変われるということをサミットで感じた。女性リーダーが頑張っている。行動している人の話を聞くとエネルギーが得られる。私もできるかもしれないと思わせてくれる。そして私が発信したことを見た人が、もしかしたら私もできるかもと思ってくれるかもしれない。その循環を止めたくない」
―今後のビジョンは。
「風船会計を全世界に広めたい。世界では女性が学校に行けない地域もある。サミットではそういう女性のために学校を作り、無償で教育を提供する発表があった。とても感動した。その学校で風船会計を教えられたらいい。会計を知ればインターネットでモノを販売するなどビジネスができる。知識が女性の希望になるのではないか。置かれている立場で諦める必要はない。国連の持続可能な開発目標(SDGs)でも教育や女性、貧困はテーマだ。いつか国連でスピーチしたい」
(2024/2/2 12:00)
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