吉川油脂、障がい者の自立サポート 正社員雇用、寮・食事用意し支援

(2024/3/13 12:00)

廃食用油リサイクルの吉川油脂(栃木県佐野市、吉川千福社長)では、現在計16人の知的障がい者が正社員として住み込みで働いている。両親が不在といった家庭に寄る辺がない障がい者を受け入れ、自立した社会生活を送るためサポートする。「里親のような立場で、困っている人を助けるために行っている」(吉川社長)という。

  • 廃食用油のリサイクル工場で健常者と障がい者が働く

障がい者雇用を始めたのは1979年ごろ。吉川油脂創業者が障がい者支援施設の知人から「障がい者の自立支援を手伝ってほしい」と頼まれたのがきっかけだ。「世の中への恩返し」のため引き受け、20代半ばの障がい者2人を自宅に迎えた。

現在は男性13人、女性3人の計16人を正社員として雇用している。年齢層は25歳から50代まで幅広い。男性10人は廃食用油のリサイクル工場で現場作業に当たる。担当するのは廃食用油の選別や油を機械(流し場)に流す作業、空いた缶の清掃など。本人の理解度に応じ、油のフィルタリングの業務の補助を任せる場合もある。

  • 寮は整理整頓が行き届いている

本社敷地内の寮は木目を基調とした造りで、整理整頓が行き届いている。壁面は外界に大きく視界が開けたガラス張りで入寮者を「籠の中の鳥」にさせない。現在はグループ会社の佇(たたずまい、栃木県佐野市)が食事の用意など入寮者の生活支援を行う。入寮者は毎月の給与から生活費や食費を佇に支払う形式だ。また雇用している障がい者のうち男性1人、女性3人の計4人は業務として寮の生活支援をサポートする。

2022年8月に設立したグループ会社のグリーンサステナブルアグリカルチャー(同)ではミニトマトの温室水耕栽培を手がけており、障がい者2人が栽培や収穫作業に当たる。同社のハウスは廃食用油由来のボイラ燃料を使用している。同社設立の狙いは廃食用油リサイクルの意義を対外的に「見える化」することだが、雇用の受け皿を広げる効果も出ている。

いつか会社を離れることになった際、生活に困ることがないように、外部委託による支出管理も実施している。吉川社長は「親ではないが、親代わりの役割は大きい」と話し、公私で障がい者をサポートする。

(2024/3/13 12:00)

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