(2024/3/14 05:00)
JVCケンウッドは自動車向けドライブレコーダーの開発、製造で培った技術を生かし、人工知能(AI)を搭載した「エッジAIカメラ」を船舶の安全な航行や点検業務など他分野に展開することを目指している。ドライブレコーダーの省スペースで通信、記録可能な機能に加え、防水防塵の耐久性とAIを組み合わせることで、幅広い用途での業務効率化と現場の安全性向上ニーズに応える。
ドライブレコーダーは自動車の利用者の安全性向上や事故発生時の記録などの用途で利用が定着しており、同社はタクシーやバスなどのドライブレコーダーの機能を開発、実証実験を実施してきた。海運業や製造業、工事現場の遠隔監視などへの導入を見据え、「目の前の課題解決」(モビリティ&テレマティクス分野事業推進本部事業開発センターの宮地成和センター長)を目指す。
昨今、人手不足により工場管理や積み荷の保安、現場の安全管理など遠隔監視などのニーズが増加している一方で、監視システム導入時に必要な通信インフラの整備コスト、使用環境に対応できる耐久性が導入時の課題になっているという。これらの課題に対し、AI機能を持つ「エッジAIカメラ」を搭載した通信型ドライブレコーダーの活用で解決を図る。
ハードウエア面では船舶や建設機械、工場現場などで使用可能にするため、通信型ドライブレコーダーに防水・防塵や耐熱・耐寒機能を開発。「高い耐久性という特性がはまる」(宮地センター長)用途に対しての実証実験も実施し、将来的な実用化を目指している。
ソフトウエア面ではAIの画像認識やデータ学習などを組み合わせることで、使用状況やニーズに応じたアプリケーションの導入などカスタマイズ(個別対応)をし、映像からの検知やアラート発信を設定できる。
コスト面では、市販品の通信型ドライブレコーダーをリファービッシュ(再整備)したものを提供することで、筐体(きょうたい)導入コストの低減を可能にする。
宮地センター長は「価格を抑えつつ使用頻度が高くなくても必要とされる分野で市場を広げていき、ソリューションのAIやサーバーなどをビジネス化していきたい」と語る。人手不足に伴う省人化のニーズに対し、現場に即したAIの機能やアプリケーションを開発して提供することで、幅広い用途で安全・安心を支援する。
(2024/3/14 05:00)
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