(2024/3/14 17:00)
日銀は18、19の両日、金融政策決定会合を開く。日銀が重視する2024年春季労使交渉(春闘)の集計結果が予想を大幅に上回る見通しにあるため、本会合でマイナス金利解除など金融政策の正常化に踏み切るか議論する。長短金利操作やリスク資産の買い入れなどの金融緩和措置の撤廃も検討するとみられる。13年から大規模金融緩和を続けてきた日本の金融政策は転換点を迎えそうだ。
24年の賃上げ率は事前予想で3%台後半が多かった。すでに前倒しで妥結する状況で5%台の賃上げ率が相次いでおり、着地は上振れする可能性が高い。23年の賃上げ率3・6%を上回りそうだ。植田和男総裁は12日の財政金融審議委員会で、金融政策の正常化に踏み切る可能性について「今週に追加的なデータや情報が入り、総合的に判断、点検し、適切な判断を下していきたい」と述べている。
15日にまとまる集計結果が予想を上回る場合、日銀の政策修正の判断を大きく後押ししそうだ。年明け以降、日銀総裁や副総裁、審議委員らから積極的な発信が増えている。2月29日に高田創審議委員が「2%の物価安定の目標実現がようやく見通せる状況になった」と発言。7日には中川順子審議委員が「賃金と物価の好循環が展望できる」と述べた。
マイナス金利政策解除の場合、政策金利がどのようなパスを描くかに金融市場は大きな関心を寄せる。内田真一副総裁は2月8日の講演でマイナス金利政策解除後に政策金利を0―0・1%まで引き上げる意図を示唆した。「仮にマイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくい」とも述べている。
日銀はマイナス金利を解除した後も緩和的な金融環境を維持する見通しだ。物価高の影響で足元の個人消費は弱含んでいる。大企業の賃上げ率が予想を超える水準になっても、中小企業へ波及するかは見通せない。賃金上昇が安定的な物価高をもたらす好循環の実現は依然として見えにくい状況だ。
(2024/3/14 17:00)
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